FC2ブログ

Entries

6. 秋、立ちぬ

 18-IMG_1197.jpg 

秋の訪れ。爽やかな風が吹きぬけ、陽射しも和らいですうっと影が伸びる。陽が落ちると、ジージー、スィッスィッの虫コーラス隊に、リィ~ンリィ~ンコロコロという鈴虫のメゾソプラノ独唱が始まる。やっとワタシにも写真が撮れる季節になったか。

この前までのあの暑さは何だったのか。「地球が怒っているんですよ」と言った人がいたが、一眼レフをもって初めての夏だというのにあまりの暑さ。たまった写真の整理をせねばならぬし、勉強もせねばならぬ。そう言い聞かせてクーラーの効いた部屋にこもってはみたものの、写真整理に励むほどに撮りたい思いが募り、積み上げた本のページをめくるほどに、その技法を試してみたくなる。しょうがない、もう止められないのだとつぶやきながら、タオルをしっかと首に巻き、水と干し梅をたっぷり持ってタクシーを呼んだ。行き先を伝えると運転手さんが怪訝そうな顔で、問い返してきた。 「田圃、でいいんですか?」

収穫間近い田圃に到着。おぉ、素晴らしい!辺り一面黄金色の稲穂が広がっているではないか。逆光だが、まずはロングショットでいくか。逆光にPLフィルターは効果なしと読んだばかりだが、空を入れ込むならそのほうが美しいのではないか。しょうがない、両方試すか。ときどき風にそよぐ稲穂はスローシャッターで撮ってみよう。稲穂がぶれて面白いに違いない。高速シャッターも試してみよう。フフッ、波のように稲穂がうねる様子が撮れるかな。逆光にキラキラ輝く稲穂のアップもいいな。あぁ、腕が鳴る。

18-IMG_9397.jpg 

まずは露出を3段階セットで撮ってみる。さて、どうか。カメラの液晶モニターを見るのだが、周囲がまぶしすぎてよく見えない。なんとか判別しようと見つめているとポトリ、ポトリと汗が落ちてくる。気を取り直してファインダーを覗く。すると眼鏡もファインダーも汗と熱気で曇ってピントが合わせられない。オートフォーカスに変えて赤点チカチカを頼りに撮るしかない。やがて太陽は頭上に輝き、陽光ギラギラ。頭はジリジリ、汗だくだく。撮影意欲は削がれ、気分はヤケのヤンパチ。アングルを変え、露出を変え、さらにモードやスタイルも変えて、連続乱れ撮りの、連続ばかり。

11-IMG_0058(切り抜き)
結果は…だらりと生気のない稲穂に、白とびしたような褪せた色の田圃に緩みっぱなしの田園風景。まるで不作の田圃のような光景に、声もなし。それは無残でありました。

「今年は雨が少なく陽がきつ過ぎるので、心配しましたが出来は上々です」と、手を止めて教えてくれた田圃のおじいさんに、申し訳ない。

田圃の隅で稲番をするポンポコ狸もご立腹のご様子。くっきり、こわいお顔がが身に滲みる。中秋の名月には御酒などお持ちいたしますので、平にご容赦を。

この後も二度ほど夏の撮影に挑戦してみたがどれも労多くして、出来悪し。真夏の撮影は諦めて、クーラーの効いた部屋で、いじけながら写真の整理を続けていたのでアリマス。


やっぱり勝手気ままな独学では上達しないのか。若かったら写真学校へ行くのになぁ。せめて写真講座を撮ろうかと手許の雑誌の案内を見ていると、写真歴30年以上、140カ国を撮影して巡ったという女性からの手紙が届いた。仕事で知り合い、その大胆な写真とほっそり上品なご本人とのあまりの落差に驚かされた方だ。写真を撮るようになって、いくつかお送りすると、歯に衣着せぬ評をくれるのが怖くも、ありがたい。夏の写真評はこうだった。

「酷暑の中を撮影に取り組んだ熱意は買いますが、一般に撮影は<芽吹き、桜、新緑>と続き、夏はひと休み。秋はの紅葉で始まって紅葉で終わります。夏に撮影するなら、明け方から9時ごろまで。その後は太陽が真上にくるので、撮影は不可です。そして、夕方から宵にかけてが撮影時間です」。

やっぱり、そうか。田圃を撮影したのは午前11時から午後3時にかけてで、太陽はまっすぐ頭上にあった。写真については、「稲の写真はどれも苦労がしのばれますが、いずれも凡作です」とバッサリ。「今度の写真のなかに中古車のが一枚、混じっていましたが、凄く気に入りました!色彩、アングルとも絶妙です。あなたは風景よりは、人間、物体などのとらえ方が抜群です。その辺りの探求をおすすめします」

入賞歴多数のベテランでも夏の写真撮影は不可なのかとホッとしたが、「あなたは風景写真には向いていません」と切られると、さすがの与三郎もバッタリだ。なによりもそれを知っているのは本人なのだから。おもしろそうな物を見つけると心が弾んでくる。それが無機質だとなおさらのこと。物よりも、好きなのは人間なのだが、今は一眼レフの操作と機能を覚えるのがやっと。その被写体としては文句も言わず、気軽に撮れる景色が手っ取りばやいのでつい風景写真が多くなってしまう。早く、もっと物と人間が撮れるようになりたい。
秋、立ちぬ。気を取り直して撮影開始!です。


近くの観音寺でお参りをすませてひと休みするおばあさん。

18-IMG_1380.jpg 


追記: このブログを見た友人から早速、「贈る言葉」という題の短いメールが届いた。
 "Only mad dogs and Englishmen go out in the noonday sun." - Indian Proverb だそうです。
 "in summer"と付け加えるべきでしょうか。




スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://naeiro.blog14.fc2.com/tb.php/9-ff87c0ca

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する