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3. 禁断の蜜の味

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伊勢神宮125社のなかでもっとも神秘的といわれる瀧原宮へ行った。瀧がたくさんあるので瀧原宮と命名されたというからには深山幽谷にあるに違いない。伊勢松阪からのバスは2時間に一本。出発時の乗客は全4名、瀧原宮前で降りたのはワタシひとりだった。時計は午前11時、帰りは午後4時26分発のバスに乗るとすると5時間余りもある。神秘的なお宮や山あり谷ありの自然がたっぷり撮れると心が躍る。

鳥居をくぐると道はまっすぐ本殿へつながっていた。暑い日だったが杉の大木におおわれた参道は涼しく、空気がうまい。しかし、両側にしっかりはられた注連縄が気に入らない。これでは寄り道もできず、森をさ迷う自由もない。 仕方がなくうっそうと暗い参道で露出を変えたりアングルを工夫して何枚か撮ってみたがうまく行かない。 出だしからもたついてないで本殿へ急ごう。 

天照大神を祀るご本殿と他3社が現れた。太陽はご本殿の頭上にあり、下には白い石、後ろには深い森――何度も苦い思いをさせられた設定だ。そのくせ、未だ解決策が見つからない。まずは白とびをなんとか避けたいがヒストグラムがわからないので、あっちこっちへで撮影して、再て画面をチェックしながら撮影ポイントを探す。辺りに人気がないので移動だけは意のままだ。ときどき参拝者が来られたら、木陰で休憩。 

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境内のほかに行くところがないので同じお社ばかり撮っているうちに、焦点距離を変えたほうが露出を変えるよりは色味が変わってググッと深みが増すことに気づいた。と、ピントの赤いピカピカを見なくても カメラのデータ表示の合焦マーク(●)が現われたらピント が合いましたよというサインであることもわかった。どちらも、なにをいまさらと笑われる基本のキだが、気分はまるで大発見!うれしくてシャッターを切ってばかり。木陰でモニターをチェックしながら、ワッ、秀作が撮れた!これもスゴイ!またまたスゴイ!興奮の連続だった。 

こうなりゃ、カメラ操作の実地練習をとっくりとさせていただこうと頭を切り替えて撮り続ける。するとまた大発見だ!アングル次第で、神社の簡素なつくりがモダンなシンメトリーのオブジェに見えるではないか。 
   
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午後2時を過ぎて陽が傾いてくるとご本殿や周りの表情がみるみる変っていく。また、同じお社をぐるぐる回って多撮乱撮を繰り返した。さすがに3時を過ぎる頃には飽きてきた。もういいや、外へ出て周りを歩いてみよう。
 
社務所に神主さんがおられたのでご挨拶をしてお話をうかがっているうちに話が弾んで、気がつけばバスの時間になってしまった。午後4時26分のバスを逃すと次は最終7時26分。逃しては深山にひとり取り残されることになる。  早く家に帰って本日の秀作写真が見たくて心がはやる。今度こそ、うまく撮れたゾ。 バスを待ちながらひとりほくそ笑んでいた。

帰宅するやシャワーもそこそこにコンピューターへ向かう。画面に次々現れる画像の前に幸福気分は吹き飛んだ。なぜこんなにひどいのだ?!ブレにピンボケ、荒れた画像、意図のわからぬアングル――もう見たくない。食欲までも失って、トーストとりんごを食べただけで寝てしまった。翌朝目覚めて天井を見ているうちに気がついた。このところ、単焦点レンズを使っていたので画質が荒れた感じがしたのに違いない。 一夜明けてゆっくり見てみれば、まあいつもの出来だ。 

現場で興奮して、コンピューター画面に再生してガックリというのも毎度のこと。それなのにファインダーを覗いているうちに、「今度は違う」とゾクゾクッとして、やがてガックリ。うたかたの夢から醒めるという繰り返し。   

それでも懲りないのは、うたかたの夢が禁断の蜜の味がするからだ。もうじき暑い夏がやってくる。炎天下の撮影は熱中症に気をつけねば。それを防ぐには水が欠かせないが、同じくらい大切なのが塩なのだ。禁断の蜜にも塩を混ぜたほうがいいのだろうか。

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     けなげな新葉


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          伊勢神宮では20年ごとに社殿を建替える遷宮の準備が進んでおり、
    瀧原宮でも4年後にはここに新社殿が建替えられる

     

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