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12.もっと時間を!

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中古自動車のブレーキ

先日、荒川区の線路ぞいを歩いていると、住宅の一隅に鉄くずのようなも0のが山積みになっているのが目についた。近づいてみると汚れているが暖かみのある美しいオブジェではないか。早速、カメラを取り出していると、ガラッとドアが開いてちょっと強面のおじさんが現れた。

あわてて、「スミマセン、無断で」と謝りながら、どうにも去りかねて、「これ何ですか?」と尋ねる。作業着姿のおじさんはゴム手袋をはめながら、「中古車のブレーキだよ」と教えてくれた。「向こうで泥を落として洗ってるんだ。こっちのは地震で棚から落ちてきたんで仕事が増えた」。「儲かってる?」と聞くと「儲かってない」とキッパリ。「これから儲かるよ、きっと」と言うと「儲かりっこないよ」と笑った。 

2-IMG_7194.jpg「写真を撮ってもいい?」、「あぁ、いいよ」となり、やっとカメラをバッグから出して、中古ブレーキの山を眺める。軒下に差し込んだ夕陽を受けて埃まみれの中古部品がきらきら輝いていた。これでブルースでも流れてきたら最高の雰囲気だ。

死に体のブレーキが泥を落として磨いてもらい、めでたく復活――大災害の瓦礫からの再生、復興への願いもこめてシャッターを切った。ところが、出来上がった写真は願いには程遠かった。

なんとか選び出した一枚を、入会しているカメラメーカーのウェブサイトに送ると掲載された。しかし、選者の写真家による評は、「ワタシなら物の哀れと機能美に着目して撮ります」と手厳しかった。「ワタシだって、そう撮れるなら撮りますよ」と友人にぼやくことしきり。

「空に白雲がなびいていたらもっと良かった」とアドバイスを受けたときは「白雲をひっぱってこいというのか」と愚痴を言い、「端の人物が余分です」と指摘されて、「ワタシに殺しはできない」と皮肉ってみたり。

ありがたい助言に喜んだり拗ねたりしてきたが、シャッターチャンスをとらえようと思ったら待たなければならないことをがわかった。「後ろに写っているひとびとが余分です。どうしても入り込んでくるなら撮らないことです」というひと様の写真評を読んで、なるほど、いくら気に入った被写体でも条件が整わなければ撮らない、という選択肢もあるのかとうなずいたこともあった。

写真を知るほどに学ばねばならないことがどんどん増えてくる。撮影、その後の現像処理に時間がかかり疲れが溜まる。本も読まねばならない。それなのに布団に入って本を開くやウトウト。遅れてきた者にとっては時間が足りない。 そう焦ってはみたものの、陽はまた沈む。しょうがない、写真を撮りながら三途の川を渡るとするか。それなら今宵は本を閉じてもう寝よう。

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